歯医者の話。

今の家に越してから、かかりつけの歯医者があったのだが、駅前ではやっているようだったので選んだものの同じ時間帯に予約を詰め込み過ぎているからか、診察室に通された後も歯科医師が見てくれる時間は瞬時ですぐに別の患者さんの部屋に移動されるという感じで、親切に診ていただけるというのには程遠く、ただ椅子に座って待っているだけという時間も長いので、なんとなくいやだなぁという気持ちが募り、治療が済んだ後に定期的にある歯科健診の足が遠のいてしまった。

以前、誕生日に前歯が虫歯で欠けたことがあって、その日はかかりつけが定休日だった。夫の元の職場に近かった歯医者に電話したらすぐ診てくれるということで、小さな欠けだったのでちょっと削ってレジンで充填してその日のうちに治療が済んだ。

かかりつけへの足が遠のいた後、歯の気になる部分ができた時に、前歯を治してもらった歯医者の方に予約を取って、それからはずっとこちらで診てもらっている。
こっちの歯医者はお商売上手なんだろう、お医者さんが何人もいて、診察室も10くらいある。歯科衛生士さんもたくさんいる。待たせないし、一人の先生がかかりきりで診てくださる。

健診も何とか途切れずに通っていたのだけれど、この3月の予約は夫の病状もよくなく、また新型コロナの感染も怖くて、結局予約を電話で取り消した。

ところが、夫の2度目の入院のころから下の奥歯がなんかおかしい。インレーの横が変にギザギザして舌にさわる。それに冷たいものがしみる。
それでも、そのころちょうど奈良は第二波がきていたし気分的に歯医者に行けなかった。
だましだまししていたが、そのうちに熱いものも響くようになってきた。
夫も退院して順調のようで、先延ばしよりも今のうちだろうと予約を取った。

2回の通院で治してもらってついでに健診と歯のクリーニングもしてもらったので(予約飛ばしたことはチクっと言われたけれど)まあよしだ。
次の検診の予約は年明けて2月。そのころ新型コロナがどうなっているかわからないから、ちゃんと行けるかどうかはわからないけれど。

歯というのは、「格差と貧困」を如実にあらわすものだと思う。
母は60歳代から総入れ歯になった。私も弟も歯医者通いはさせてもらえたけれど、それでも最低限の治療で、日ごろのケアはできなかった。
私の下あごの第2大臼歯はないし、上あごの左の第1大臼歯もない。虫歯で神経を抜いた後、脆弱になって、食事中に根まで折れてしまって抜いたものだ。
治療も保険内診療のみでしてきたので臼歯以後はほとんどいわゆる「銀歯」だ。
見た目のことではひけめもあるけれど、それでも、まだ噛むのに支障がないだけ残っている。貧しい中で母が死守してくれた歯だ。

できるかぎりケアして、入れ歯を入れずに済むようにしておきたい。


笠そばの近くで咲いていたリコリス。インカルナータかな?