16.あなたならどうする 井上荒野 △
ナツメロの題名を借りた短編集。ちょっと色っぽいお話。
あんまり頭に残らず。

17.掟上今日子の遺言書 西尾維新 △
これもドラマ化の原作だったのでなんとも・・・

18.つるかめ助産院 小川糸 △
ドラマ化されたときに見たかったのだけれど余裕がないころで見逃したので読んでみようと思って。
お産の話は経産婦だとまた違った視点で読めるのかな。私はあいにく経験がないので、そうなんだ~とか、なるほど~とか感じ入る部分もあったが、経験者だと「だからなに?」みたいなものかもしれないので。
最後はなんだかスピリチュアルみたいな感じで無理やりオチをつけたような唐突感。
ドラマでは先生は余貴美子だったそうだが、脳内では吉田羊に変換されてしまった。おそるべしコウノドリ。

19.老乱 久坂部羊 △
この著者の小説は読みごたえはあるのだけれど、内容がグロテスクなものが多いので、3冊読んで後敬遠していた。
介護問題がテーマだとまたものすごい切り口なのではと恐れながら借りてきたが、認知症が次第に進む主人公の様子がじっくり描かれていて奇をてらったところがなく読みやすかった。主人公の日記がまるで「けえかほうこく(アルジャーノンの)」みたいな文調になっていくのがなんとも・・・
認知症の人への接し方として、困った行動をなくしたいと躍起になるほど行動がエスカレートしてしまうというのは、この先両親の介護をする際に覚えておきたいものだ。そううまくいくことでは絶対ないだろうが。

ちょっと読書ペースが落ちてしまった。ドラマ見るのも忙しいし、今は庭仕事も書き入れ時なので。

12.羊と鋼の森 宮下奈都 △
書評がよかったし映画化もされるというので読んでみた。
調律によって整えられるピアノの音を故郷の森になぞらえて表現する文章は美しい。物語的にはただただ静かで心の上っ面をただ滑っていくみたいな感じで、私にはあまり向いていない小説だったのかな。

13.掟上今日子の備忘録 西尾維新 △
ネット動画でドラマは見たんだけど、何となく借りてみた。
ドラマの原作になったお話ばかりだったので、結末わかってる状態で読んでもこういうのはダメだね。

14.望み 雫井秀介 〇
雫井秀介の本は私的にはハズレがない。この本もよかった。
急に夜遊びをするようになった長男が行方不明になり、しばらくしてその友達の少年が遺体となって発見される。犯人らしき少年2人が逃亡するのが目撃され、長男がその一人と目されマスコミに家を取り囲まれる家族。
逃亡中の少年が仲間に語った「2人殺してしまった」という言葉がネットに現れ、両親はわが子が加害者なのか、被害者なのか、2つの考えの中で揺れ動く。
この本を、2年前までに読んでいたら私はこの本から大して何も受け取らないままに読み終えてしまったかもしれない。
誰かの生を自分の腕に抱えて生きるということは、その生に「正しくあれ」と願うだけでなく、「たとえ正しくなくともただただ生きていてほしい」という望みを持つものなのだということが、今の私にはわかる。

15.コンビニ人間 村田沙耶香 △〇
芥川賞だから、と言って、さあ読んでみよう、とは思わない、むしろ、みんながこぞって読むような本はなんかイヤ、みたいなアマンジャクなので、図書館の「今日返ってきた本」のコーナーでたまたま見かけたのでなければ借りなかったのだけれど、とても面白く読んだ。
この主人公の恵子さんのように、生きづらい人間社会で周りの人間に擬態して何とか生きていく方法をとる、なんてことを、マジョリティには理解できるものなのだろうか?この小説が芥川賞を取ったということは、世の中の人たちの少なくない人が、マジョリティに擬態した〇〇人間だからじゃないのか、なんてちょっと思えた。

7.魚のように 中脇初枝 〇
「きみはいい子」「わたしをみつけて」の中脇初枝のデビュー作だということで、bookoffで見つけて購入。
既読作と同じような手触りの小説を期待していたら大違い。まじめな純文学の文芸誌を間違って手に取ってしまったような・・・
自分の中の文学を目を凝らして見つめて水底から言葉を丹念に掬い上げて綴ったような印象。驚いたのはこれは著者が高校生の時の作品なのだそうで、やっぱり才能というものは人を選んで備わっているもので努力で埋められないものが厳然としてあるのだなぁ、と。
既読作が、著者が誰かの人生を照らすために書いたもの(と私は勝手に思っているのだけれど)だとすると、この本の2編は著者が自分を生かすために書いたものなのだ。そうして一生、自分のためだけに文章を綴る人もいるのだろうけれど、この作者が違う目的を持ってくれたことに、私は心から感謝する。

8.幼な子われらに生まれ 重松清 △
何冊かこの著者の本は読んだが、「イイ話」の予定調和なスタイルが「もういっか」となってしまってつい手が伸びない。
新聞で、キネマ旬報のベストテンにこの作品の映画化が入っているのを見て、ググってみたら映画が面白そうだったので、原作をとりあえず読んでみようと。図書館になかったのでこれもbookoffで。

9.世界の果ての子どもたち 中脇初枝 ◎
三重丸つけたいくらい。
戦中の満州の開拓村で、ただ嵐の一夜だけを一緒に過ごしおにぎりを分け合った、ともに国民学校一年生の、珠子と美子(ミジャ)と茉莉の三人の少女が、引き揚げ、差別、被災とそれぞれに辛苦の人生を送り、その一夜の思い出が決め手となって再会する。
たくさんの人に地獄を這いまわらせ、命を奪った戦争を経験した、隣同士の3つの国に生きるものが、幼子が手に握ったキャラメルを力づくで奪うような生き様を選ぶのか、たった一つのおにぎりを他者により多く分け与える幸せを選ぶのか、作者は私たちに真剣に向き合って本当に大切なことを問い直している。
図書館で借りた本だがこれは持つべき本と思い、Amazonで中古で購入した。また読み直そう(夫にも勧めて昨日一気読みしていた)。

10.きのうの神さま 西川美和 〇
「永い言い訳」がとてもよかったので他の本も、と思い借りてきた。
短編集。
映画の「ディア・ドクター」は気になっていながら見ていないのだが、この短編集は「ディア・ドクター」のための取材で余ってしまったネタを惜しんで書かれたもののようだ。
きめ細かい人物描写。好ましい。

11.恋のゴンドラ 東野圭吾 △
新作があると、つい図書館で予約してしまって、やっと順番が来て読むのだけれど、読み物として面白いのは面白いのだけれど、後に何にも残らない。きっと半年もすると内容も全部忘れちゃってると思う・・・

5.わたしをみつけて 中脇初枝 ◎
・・・またやってしまった。これも読んだ覚えが。
以前、NHKのドラマで、「てっぱん」の瀧本美織が孤児の准看護師の役のドラマをやっていたのを何となく見ていて、うわ~こんな暗い人間も演じられるんだ、とビックリした。
夏ごろに、例によってAmazonプライムビデオで「きみはいい子」という映画を見たのだが、小学校教師が虐待を受けているらしき生徒を気に掛け、でも粗暴な親を恐れてなかなか動き出せず、でも生徒の住んでいるアパートについ足を向けてしまう・・・といったシチュエーションが、入院患者に頼まれてアパートに虐待の様子を伺いに行くというドラマの筋と似ていて妙な既視感があり、後でググってどちらも原作者が同じで1つの物語を別の小説で書いたものだと知った。
それで改めて図書館で「きみはいい子」と「わたしをみつけて」を借りてきて読んだはずが「わたしをみつけて」の方を忘れてたという・・・
「わたしをみつけて」も「きみはいい子」も、人間のダメなところ嫌なところもきちんと描きつつ、その中の光明をはっきり見せて、読む人に力を与えてくれる小説だと思う。「きみはいい子」の映画もお勧め。

6.ポイズンドーター・ホーリーマザー 湊かなえ 〇×
小説としては上手だと思う。でも認めがたい。私は嫌い。
湊かなえは「告白」を読んだ時から後味悪く、その後「夜行観覧車」や「Nのために」などを読んだが「夜行観覧車」が多少マシと思えたくらいでやはり読後感の悪さ、人間の信頼を鼻で笑って貶めるような、エナジードレインしていくかのような物語性がどうしても好きになれない、というか嫌い。
こういう感じのミステリーを「イヤミス」というのだそうだが、いろいろ書いた中にこういう著書もいくつかあるというのじゃなしに、こういう話しか書かない、というのはどうなのだろうか。表現者が表現するものは自分の内面からいづるものだと信じている私がおめでたいのかもしれないが・・・
題名で、あ、毒親モノなのかな?と思って手に取った。これも先日読んだ「お願い離れて、少しだけ。」と偶然同じでオムニバス、というかいわゆる「毒親」と娘のかかわりにまつわる短編集になっている。
6つの短編のうち、最後の「ホーリーマザー」だけ書き下ろしなのだそうだが、ここで著者は「毒親」について全否定して見せる。

「(前略)毒親に支配されている人を、海でおぼれている人に例えて考えてみてよ。マリアはかなり沖で激しい波に飲み込まれて、息も絶え絶えに苦しんでいる。弓香は、浅瀬でばしゃばしゃもがいているだけ。本当に溺れていると思い込んでいるんだろうけど、ほんの少し冷静になれば、足が届くことが解るのに、気付こうともしない。先に助けなゃいけないのはどっち?なのに、浅瀬の弓香が助けて助けてって大騒ぎしていると、本当に大変な人が溺れていることに気付いてもらえない。(後略)」

これは、浜辺で海の様子を見ている人が言っては絶対にいけない言葉ですから(笑)。
沖で溺れようが、足の着くところで溺れようが、溺れるのは同じ。人は膝までの深さの水でも溺れる。水の深さ云々ではなく、その人が泳げるかどうか、その時の体力、メンタリティー、いろんな要素があり、溺れるか溺れないかが決まる。
著者は、たいしたことないのの大騒ぎしている人のせいで本当に助けが必要な人に助けが及ばないことを心配しているけれど、明らかに助けが必要な人は見てわかる。本当に助けが必要なのは「足の着く場所でしょ」と無視される人たちなんじゃないか?自分が溺れていることに気付かないものだっているのに。
著者のあくどさを思ったのは毒親ブームに乗って商業誌に5つも毒親短編を掲載しておいて単行本化の時に書き降ろしを加えて「毒親なんてほとんどウソですから」と突き放す。
嫌な人だなぁ。「絶対」って言っちゃいけないけど、湊かなえはもう読みたくない。

読んだ本をどうにも忘れるので、年始ということもあるし記録していこうと思う。そのうち続けられなくなるかもしれないけれどそうなれば笑ってくだされ。

1.夜また夜の深い夜 桐野夏生 △
無国籍で母と二人各国を転々と隠れて生きる少女マイコの話。「バラカ」とか、「OUT」のおしまいのところみたいな、世界のどこかの誰にも構われないところでひょうひょうと生きることがこの著者の憧れなのかな?私はそういうの怖いと思ってしまうけれど。
社会的な問題を物語の柱の一つに取り入れることが特徴の著者だけれど、この物語の場合はなんだかこじつけっぽくてあんまりうまくないな、と思った。

2.朝が来る 辻村深月 〇
「赤ちゃんポスト」のような架空の団体を結び目にして、不妊治療の果てに特別養子を希望した夫婦と、無知のために望まぬ妊娠をした中学生の出産後の人生が語られる。
それにしても、やっぱり小学校低学年のうちからきちんとした性教育、ジェンダー教育は必要だとしみじみ思った。

3.殺人犯はそこにいる 清水潔 〇
twitterのタイムラインに、Amazonプライムビデオのオリジナルドラマ「チェイス」が盗用である、という内容のtweetがいっぱい流れてくるので(著者ご本人もフォローしていて、何の使用許可も出されていないとしているので)、ドラマも見たうえで早速図書館で借りて読んでみた。
確かにこれは盗用だわ。
ドキュメンタリーものを読むのは苦手なのだが、この著者の特徴なのか小説のようなとっつきで読みやすかった。
こういう仕事をする人は独特の自己主張があるのかもしれない。終始一人称の文章なのでそのアクの強さに引っかかる人は読むのが苦になるかもしれない。先にドラマを見ていたので、「私」が大谷亮平(逃げ恥の風見さん)にイメージされて困った。
ずっと以前、「文庫X」という本が話題になって、読んでみようかな?と思いながら忘れていて、この本を読み終わってから文庫Xの中身がこの本だったと思いだして、ますます自分の記憶力の低下に自信を深めてしまった(トホホ)。

4.お願い離れて、少しだけ。 越智月子 △
1冊の「毒親本」をめぐっての、大学時代の5人組女子グループのそれぞれの母娘の物語。
そのオムニバス自体が、毒親本のケーススタディのようにチープな感じで、せっかく小説の体であるならば、5人のかかわりをきちんと綾織ることができなかったのだろうかと残念。小説ではなくまんま毒親本にしたかったのかな?